パンゴンツォへの道のり

インドのパンゴン湖に行きたい。 インドのグルガオンで働いています。


2024年6冊目、サンジーヴ・スィンハ著『インドと日本は最強コンビ』を読んだ。

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新書コーナーを歩いていて見つけたものだ。
インド関連本はできるだけ読むようにしてきたが、インド人の目線で書かれた日本の文化やビジネスというのはなかなか無いため非常に興味を持った。

著者は、今を時めくIITを卒業した後、人工知能の研究開発の仕事のため来日。
それ以来インドと日本を繋げるような経済活動に貢献してきた人物だ。

日本の良さをこれでもかと説いていて、自虐的な日本人はとても鼓舞される内容である。
インドに住み、働いていた私としては、何度も比べた部分であり、もう少し厳しいことを言ってくれても良いのにな、と思えるほど褒められていた。
また、2016年発行とは言え、現在にも通ずる内容だ。

タイトルに書かれている『インドと日本は最強コンビ』の真意というのは、日本の標準化の強みとインドの柔軟性を掛け合わせれば相乗効果を生み出せるというものであり、その点は非常に同意である。
一方で、インドで働く中で、「日本式の仕事の仕方をインド人スタッフに共有することが果たして正しいのだろうか」と考え駐在員の方と語り合う日もあったりした。

仕事をしていく上で、長所を見つけ伸ばすことや信念を持つ強さが必要なのだろうとも思わされた。

インドと日本は最強コンビ (講談社+α新書)
サンジーヴ・スィンハ
講談社
2016-01-21



2024年5冊目、福沢諭吉著佐藤きむ訳『学問のすすめ』を読んだ。

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この本を購入したのは、大学4年の時、今から10年前だ。
教職のゼミでの課題であり本来は原著を用意すべきだったのだが、ギリギリで行った本屋には置かれていなかったためこれを選び、半分も読まずにゼミに臨んだ記憶がある。

ずっと処分せず、昨年読もうと思ってインドに持って行ったものの積読し、結局日本に持って帰ってきた。
時間もある今読まなければずっと読まない気がして、手に取った。

感動した。
何に感動したのかというと、およそ150年前にこのような考えを持った人がいて、洋学の先駆者として進む方向を示していった、実行していったということ。
『学問のすすめ』の名前や冒頭の「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云へり」は有名だし、福沢諭吉は一万円札の顔だし、慶応義塾大学の創設者として非常に有名である。
とは言え、『学問のすすめ』を通読したことのある人はどれくらいいるのだろうか。
慶応義塾大学生は当然だろうけれど……。
大学時代にしっかり読んでいなかったことが悔やまれるほどであった。

八編で「孫の誕生が遅いことを不孝と言うな」といった内容があり、150年前にこんなことを言えたのかと驚いた。
全十七編あり、特に後編で琴線に触れる文章が多かった。
「学問の本質は生活にどう活用するかということ、本当の目的は読書だけではなく精神の働きにある。」
「心事が高大で働きの乏しい人は、常に不平を抱く。他人の仕事を見て物足りなさを感じたならば、自分もその仕事をやってみよう。」
「東洋人と西洋人とでは、たとえ利害が明らかでも、むやみに相手方の習慣を自分の国に取り入れるべきではない。」
など、ごく一部を抜粋したが現代にも通ずることを説いている。
というか、150年が経過しても社会というのは結局人が構成するものだから本質は変わらないのだろう。

全日本人に読んでほしいというのは過激かもしれないが、まだ読んでいない人がいたら一番にお勧めしたい本かもしれない。
原著を購入したので、近いうちにそちらも読もうと思う。





2024年4冊目、九段理江著『東京都同情塔』を読んだ。

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この本は第170回芥川賞を受賞し、生成AIを活用したことも相まってか大きく話題になった。
私自身、たまたま芥川賞の受賞インタビューを見たことで初めて知った著者と小説だった。

ザハ・ハディド案の新国立競技場が建設された世界線。
犯罪者をホモミゼラビリス(同情されるべき人々)と呼称し、彼らの犯罪ではなく環境に同情し、彼らに刑務所ではなくシンパシータワートーキョーという高層タワーでの暮らしを提供しようとする計画のコンペに参加する建築家が主人公だ。

巷では、生成AIを使用したことで注目されたが、私は著者の九段理江さんが音楽好きという点に興味を持った。
なんと、著者自ら『東京都同情塔』のプレイリストをSpotifyで公開していたのだから。



これを聴きながら読んでねと言わんばかり。

また、帯に書いてある「あなたは、犯罪者に同情できますか?」という問いについて考えるよりも、私はこれを読んで日本語や言葉をとても大切にしていきたい気持ちになった。

私にとっては登場人物のキャラクターに惚れ込むタイプの小説ではないけれど、音楽のノリも相まって読後感の良い素敵な読書体験になった。

東京都同情塔
九段理江
新潮社
2024-01-17


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