『TE3N』は、韓国映画の『悪魔は誰だ』のリメイク映画です。
私が最初に観たのが『TE3N』でしたのでその順番に紹介しますね。
『TE3N』は、Amitabh Bachchanが主演のスリル・サスペンス映画。
Amitabh Bachchan演じる主人公Johnは、日々警察に通っています。
何故かと言うと、過去に起きた孫息子の誘拐・死亡事件の進捗を知りたいから。
しかし調査は遅々として進んでおらず、警察から疎まれているほど。
Johnはヒントを手に入れ、自分で調べて犯人発見を目指し一人動いていきます。
それとは別に、そのJohnの事件と類似の事件が起き、犯人がまた現れたのか?と捜査が始まります。
ジャンルとしてはサスペンス。
Johnが手掛かりを見つけてその糸を辿って犯人を発見するまでを追体験できます。
警察官はNawazuddin Siddiqui。
離婚設定ですが、その元妻に精神的に支えられるシーンあり。
この設定を入れた理由は、元の『悪魔は誰だ』を観てなんとなくわかりました。
「家族」の絆のようなものを表したかったのかなあ。
私、これを観た後の悲しみが深くて、次の日出勤だったのですが、働いていてもその悲しみが思い出されてズドーンと暗くなりました。
犯人に対して復讐をした形になりますが、とは言え、孫が戻ってくるわけではない、家族の仲が事件以前に戻るわけではない、どうしたって虚無感は消えないで残り続けてしまう……。
その点の演技はさすがでしたね。
さてさて、オリジナルの『悪魔は誰だ』ですが、『TE3N』と同様の展開。
各シーンの撮り方も似ていました。
異なる点は、
・主人公(?)は母親。
・時効がある。
・誘拐され死んでしまうのは娘。
・刑事が資料を燃やす
・刑事が亡くなった娘の死因を隠している?
くらいでしょうか。
「母」の子を想う気持ちに焦点を当てたのかな。
主人公というか、母親と刑事さんどちらも半々くらい出てくる。
そしてどちらかというと刑事さんの悔しさや一生懸命さを感じられた。
主人公の母親の描写があんまり無いんですよね。
どうやって真犯人に辿り着いたのか、というのは『TE3N』のほうが詳しく描かれている。
ただ、サスペンスというジャンルでの怖さは、『悪魔は誰だ』のほうが印象的。
画面が全体的に暗いので……。
雨が降っていたり、着ている服や小物が真っ黒だったり、夜のシーンや作業部屋などどんよりしたイメージ。
色の印象って凄いですね。
最後に、両作品を観たからこそ気になることがひとつ。
なんで邦題は『悪魔は誰だ』なんでしょうか。
原題の『モンタージュ』は内容に即した良いタイトルだと思いました。
そしてリメイクの『TE3N』についても(ヒンディー語で3を表す単語です)、観客になぜ?と思わせる良いタイトルだったと思います。
でも邦題の『悪魔は誰だ』はわからない……。
誰も悪魔では無かったと思う。
もし誰も悪魔ではないと思わせたかったのであれば、
悪魔という単語の選択が気に食わない。
強いて言うなら、真犯人の反省の色が全く見えないあたりやカレンダーについての恐怖感というのはあったくらい。
でも母親は悪魔ではないし、じゃあ人間はひとしく悪魔の一面があるとでも言いたいのか?と思ったんですが、この映画は復讐をテーマにしてはいないと感じたので、そこまで人間の本性が出てくる内容でもないんですよね。なんなんだろう。原題の『モンタージュ』で良かったじゃないか、と思ってしまう。
以上でっす。