もう5月になってしまいましたが、2023年1冊目、本多静六著『私の財産告白』を読みました。

Twitterでこれを読んだ方のツイートが流れてきて、興味を持ったのでコミックシーモアで買って読んでみました。199円。

hondaseiroku


そもそも本多静六という方は、専門を農林・公園等の開発とし、現在の東京大学の教授を務めた人です。
けして裕福とは言えなかった状況から、投資で富を築き、しかもその財産のほとんどを寄付しています。

この本では、貯蓄と投資の方法について書かれていますが、それ以外の彼の人生の学びも記されています。
人生即努力・努力即幸福」といった人生観が軸にあることが印象的でした。

私が覚えておきたい部分を抜粋します。

貧乏に強いられてやむを得ず生活をつめるのではなく、自発的、積極的に勤倹貯蓄をつとめて、逆に貧乏を圧倒するのでなければならぬと考えた。
そこで断然決意して実行に移ったのが、本多式「四分の一天引き貯金法」である。
~中略~
いくらでもいい、収入があったとき、容赦なくまずその四分の一を天引きにして貯金してしまう。
そうして、その余の四分の三で、いっそう苦しい生活を覚悟のうえで押し通すことである。これにはもちろん、大いなる決心と勇気が必要である。
貯蓄分を先に抜いて、それで生活しようというのは(現代においては)わりと普通の考え方だと思いますが、苦しい生活を覚悟し、家族にも展望を共有し、決心と勇気をもって成し遂げたところが凄いですね。

貯金の問題は、要するに、方法の如何ではなく、実行の如何である。
ところで、私のやり方をさらに詳述してみると、「あらゆる通常収入は、それが入ったとき、天引き四分の一を貯金してしまう。さらに臨時収入は全部貯金して、通常収入増加の基に繰り込む」法である。これを方程式にすると、
貯金=通常収入×1/4+臨時収入×10/10」
ということになる。
実行の如何、というのがもうその通りとうなずくしかありませんでした。
クラブハウスを解約したので敷金の返却があったんですが、やったーと思って外食に使った私よ……。

「使うには使われろ」という言葉が昔からある。これは、人を上手に使うには、自分自身まず使われる体験を持たねばならぬという意味と、また使う者は使われる者の身になってすべてを考えよという意味の二つが含まれているようである。さらに徹底した解釈では、人を使うのは、結局人に使われるのだというのである。したがって、人に使われること最もよろしきを得たものが、また人を使うに最もよろしきを得るわけになろうか。

これは仕事論ですが、それぞれの立場の人の仕事を知っていることでやりやすくなることは多々ありますね。

仕事を道楽化する方法はただ一つ、勉強に存する。努力また努力のほかはない。
なんでもよろしい、仕事を一所懸命にやる。なんでもよろしい、職業を道楽化するまでに打ち込む、これが平凡人の自己を大成する唯一の途である。

本の中で日本史の教科書で見た名前が出てくることや、こういった考え方や気合の入り方、それを当然と思えることが、戦前の生まれで戦後を立て直してきた人たちというのは違うなあと感じ入る点もありました。

今年はどげんかせんといかん、と思って、定額積立預金を始めました。利子は7.1%です。
また、個人で10年家計簿をつけてきた私でしたが、諸事情あって手をつけていなかった家庭の支出に関しても、私が主導権をもってまずは把握することを始めました。

インドでは、ジョイントファミリーと呼ばれる形態の住み方が多数を占めます。
祖父母世代との同居のみならず、親と親の兄弟、その子どもたちと一緒に住むのです。
そのため、10人ほどで一緒に住んでいるような状況は珍しくありません。
(グルガオンや都市部が核家族化していて珍しいだけで。)
そしてそういう形態の住み方で家計管理ってどうやっているのでしょう……。
まあ他人なのでいいのですが、なんかこう、その場その場で他人を頼って生きる(言ってしまえばそれで生きられる)ので勝手に心配になることもありますね。
いつかその影響がこちらまで響いても動じずに手を差し伸べられるよう大きくなりたいなと思います。



私の財産告白 近代経済人文庫
本多静六
千歳出版
2022-11-25