2024年4冊目、九段理江著『東京都同情塔』を読んだ。

この本は第170回芥川賞を受賞し、生成AIを活用したことも相まってか大きく話題になった。
私自身、たまたま芥川賞の受賞インタビューを見たことで初めて知った著者と小説だった。
ザハ・ハディド案の新国立競技場が建設された世界線。
犯罪者をホモミゼラビリス(同情されるべき人々)と呼称し、彼らの犯罪ではなく環境に同情し、彼らに刑務所ではなくシンパシータワートーキョーという高層タワーでの暮らしを提供しようとする計画のコンペに参加する建築家が主人公だ。
巷では、生成AIを使用したことで注目されたが、私は著者の九段理江さんが音楽好きという点に興味を持った。
なんと、著者自ら『東京都同情塔』のプレイリストをSpotifyで公開していたのだから。
これを聴きながら読んでねと言わんばかり。
また、帯に書いてある「あなたは、犯罪者に同情できますか?」という問いについて考えるよりも、私はこれを読んで日本語や言葉をとても大切にしていきたい気持ちになった。
私にとっては登場人物のキャラクターに惚れ込むタイプの小説ではないけれど、音楽のノリも相まって読後感の良い素敵な読書体験になった。