2024年5冊目、福沢諭吉著佐藤きむ訳『学問のすすめ』を読んだ。
この本を購入したのは、大学4年の時、今から10年前だ。
教職のゼミでの課題であり本来は原著を用意すべきだったのだが、ギリギリで行った本屋には置かれていなかったためこれを選び、半分も読まずにゼミに臨んだ記憶がある。
ずっと処分せず、昨年読もうと思ってインドに持って行ったものの積読し、結局日本に持って帰ってきた。
時間もある今読まなければずっと読まない気がして、手に取った。
感動した。
何に感動したのかというと、およそ150年前にこのような考えを持った人がいて、洋学の先駆者として進む方向を示していった、実行していったということ。
『学問のすすめ』の名前や冒頭の「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云へり」は有名だし、福沢諭吉は一万円札の顔だし、慶応義塾大学の創設者として非常に有名である。
とは言え、『学問のすすめ』を通読したことのある人はどれくらいいるのだろうか。
慶応義塾大学生は当然だろうけれど……。
大学時代にしっかり読んでいなかったことが悔やまれるほどであった。
八編で「孫の誕生が遅いことを不孝と言うな」といった内容があり、150年前にこんなことを言えたのかと驚いた。
全十七編あり、特に後編で琴線に触れる文章が多かった。
「学問の本質は生活にどう活用するかということ、本当の目的は読書だけではなく精神の働きにある。」
「心事が高大で働きの乏しい人は、常に不平を抱く。他人の仕事を見て物足りなさを感じたならば、自分もその仕事をやってみよう。」
「東洋人と西洋人とでは、たとえ利害が明らかでも、むやみに相手方の習慣を自分の国に取り入れるべきではない。」
など、ごく一部を抜粋したが現代にも通ずることを説いている。
というか、150年が経過しても社会というのは結局人が構成するものだから本質は変わらないのだろう。
全日本人に読んでほしいというのは過激かもしれないが、まだ読んでいない人がいたら一番にお勧めしたい本かもしれない。
原著を購入したので、近いうちにそちらも読もうと思う。