パンゴンツォへの道のり

インドのパンゴン湖に行きたい。 インドのグルガオンで働いています。

カテゴリ: 映画


私の愛するMadhuri様、ここでは便宜上マードゥリー・ディクシートと表記します。

(Madhuri様についてはこちらから。)

好き好き言っておきながら、あまり彼女の映画を観たことはないんです。

時間のある今のうちに少しづつ観ていきたいと思いました。

それにあたって、インドのどのメディアで観れるのかというのも記録しておきたいと思います。

:Amazon Prime Video
:Netflix
:Disney+ Hotstar
:YouTube (オフィシャル公開っぽいもの?)


映画祭での上映は含まず、公開日を基準に順番に並べています。

madhuri


ー1984年

Abodh


ー1985年

Awara Baap



ー1986年

Swati


ー1987年

Hifazat

Uttar Dakshin


ー1988年

Mohre

Khatron Ke Khiladi

Dayavan

Tezaab


ー1989年

Vardi

Ram Lakhan

Prem Pratigyaa

Ilaaka

Mujrim

Tridev

Kanoon Apna Apna

Parinda

Paap Ka Ant


ー1990年

Maha-Sangram

Kishen Kanhaiya

Izzatdaar

Dil

Deewana Mujh Sa Nahin

Jeevan Ek Sanghursh

Sailaab

Jamai Raja

Thanedaar


ー1991年

Pyar Ka Devta

Khilaaf

100 Days

Pratikar

Saajan

Prahaar: The Final Attack


ー1992年

Beta

Zindagi Ek Juaa

Prem Deewane

Khel

Sangeet


ー1993年

Dharavi

Mahaanta

Sahibaan

Phool

Khal Nayak

Dil Tera Aashiq

Aasoo Bane Angaarey


ー1994年

Anjaam

Hum Aapke Hain Koun...!


ー1995年

Paappi Devataa

Raja

Yaraana


ー1996年

Rajkumar

Prem Granth


ー1997年

Koyla

Mahaanta

Mrityudand

Mohabbat

Dil to Pagal Hai


ー1998年

Gharwali Baharwali (特別出演)

Bade Miyan Chote Miyan (特別出演)

Wajood


ー1999年

Aarzoo


ー2000年

Pukar

Gaja Gamini


ー2001年

Yeh Raaste Hain Pyaar Ke

Lajja


ー2002年

Hum Tumhare Hain Sanam

Devdas


ー2007年

Aaja Nachle


ー2011年

Bollywood: The Greatest Love Story Ever Told


ー2013年

Bombay Talkies (特別出演)

Yeh Jawaani Hai Deewani (特別出演) 


ー2014年

Dedh Ishqiya

Gulaab Gang


ー2018年

Bucket List (マラーティー語)

Mowgli : Legend Of The Jungle (声の出演)


ー2019年

Total Dhamaal

15 August (プロデューサー) 

Kalank



公開日までは書いていないんですが、同じ月に公開されている映画がいくつもあって、スケジュールどうやってこなしていたんだろうと心配になりました……(笑)

YouTube公開は仕組みがわからないので、公式でなければ外していこうと思います。

観た映画は感想をブログにまとめていこうかな。

ある程度観たらランキング順にもしてみたいな!



イルファーン・カーンが逝ってしまった。

彼の訃報からあっという間に1週間以上が経った。

ロックダウンは続いていて、仕事をしたり買い出しに出たりしながら日々は過ぎていく。

彼の訃報を目にした日、彼が出演している映画を辿りながら思い出に浸ろうと思った。

彼が私たちにくれたいろんな感情を思い出しながら、彼の死後の安寧を祈ろうと思った。



何もできなかった。



彼がこの世にいないという現実をまだ受け容れられていないけれど、彼の軌跡を残しておきたいしたくさんの人に知ってほしい。

今、私は彼について書きたい。



イルファーン・カーンとは

irrfan

インドのヒンディー語映画界を中心に、ハリウッドやイギリス映画でも活躍した俳優です。

アルファベット表記にするとIrrfan Khan。カタカナ発音だとイルファーン・カーンになります。
私はイルファン表記に慣れてしまっているけれど今回はイルファーン・カーンで書き進めます。

1988年の『Salaam Bombay!』で端役ですが映画デビュー。

その後苦しい時期が続きますが、2000年代に入ってから主演を務めるようになり、評価されるようになっていきました。

日本で有名な作品は『めぐり逢わせのお弁当』だと思います。

thelunchbox

この映画では、2014年のアジア映画賞で主演男優賞を受賞しています。

また、インド映画に限らず国外の映像作品にも多く出演していました。
実はみなさんも無意識に彼をスクリーンで観ていたかもしれません。
有名どころだと『スラムドッグ$ミリオネア』、『インフェルノ』、『ジュラシック・ワールド』などです。

主演、助演含め定期的に映画やドラマへ出演していましたが、2018年3月に神経内分泌腫瘍と診断され治療に専念。
治療を終えて、2020年3月に主演最新作『Angrezi Medium』が公開されました。

しかし、先月、4月29日(水)、結腸感染症によりこの世を去りました。53歳でした。



イルファーン・カーンの遺作

4月29日、その日の仕事を終えてTwitterを開いたら、このニュースが飛び込んできました。


意味がわかりませんでした。信じられませんでした。

自身が抱えていた難病(神経内分泌腫瘍)に関してイギリスで治療をして、インドのムンバイに戻って来てから1年が過ぎていたはずでした。

その病気が悪化したのか?と思いましたが、直接の死因は結腸感染症でした。



難病の治療に専念すると公にしてからの復帰作が『Angrezi Medium』でした。

これは日本でも公開された『Hindi Medium』(ヒンディー・ミディアム)の関連作品にあたります。正式な続編ではありません。

イルファーン・カーンが大好きな私はその公開を待ち望んでいました。

irrfan1

公開日は3月13日。

インドにいる方はわかるかと思いますが、この時期、インドではすでに新型コロナウイルスへの警戒が強まっており、映画館に行くことは憚られる状況でした。

楽しみすぎて3月10日の深夜に上映日程をチェックしていたんですが、この時点では公開日の予約は全く入っていなかったんです。

普段だったら3日前でも公開日の夕方は多くの予約が入ってるんですが、多くの人が映画館に行くのを避けている状況でした。
(緑が空席多い、赤だと満席)

irrfan2

私は、周りの人を守るために映画館には観に行かない決断をしました。

公開後も行きたくて行きたくてアプリで予約状況をチェックしていたんですが、全席空席の回もあったりしました。

その後3月22日の外出禁止、それ以降の厳しいロックダウンの実施により、『Angrezi Medium』を映画館で観れた人は少なかったと思います。

興行収入は135,400,000ルピー。
前作『Hindi Medium』が3,224,000,000ルピーだったことと比べるとあまりにも差がありますね。

結果として、これが彼の遺作となってしまいました。

せめて新型コロナウイルスが無ければ、たくさんの人に観てもらえていろんな感想を聞くことができただろうに。

思えば、映画公開前のプロモーションについても、イルファーン・カーンは体調を優先して参加しないことを表明していました。

現在、『Angrezi Medium』はDisney+ Hotstarで公開されています。



もう少し気持ちが落ち着いたら観たいです。



イルファーン・カーンの演技

タイトルの「インドの中井貴一」とは私が勝手に表現しているだけで、インド映画ファンからそう呼ばれているわけではありません。悪しからず。
この表現で覚えられてしまうのも本意ではありません(汗)

中井貴一さんの、俳優の小林桂樹さんから「サラリーマンを演じられる人間がいなくなったら、アウトローも存在しない。お前には、王道を歩む俳優になってもらいたい。」と言われそれを意識したというエピソードが印象に残っていました。



イルファーン・カーンも同様に、平凡な一般人を多く演じてきました。

インド映画でイメージされるようなキレキレのダンスを踊るわけでもなし、スタイルをバキバキに仕上げるわけでもなし、ただただ淡々と、この世界にいる人たちを演じてきました。

そういった、「インド映画と言えば」でイメージされるようなダンスや容姿に言及する必要のない、純粋に芝居を楽しませてくれる俳優でした。



イルファーン・カーンのおすすめ作品

ではここで、私の独断と偏見で選ぶイルファーン・カーン出演おすすめ作品を、好きな順にご紹介したいと思います。


『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012年公開) 

lifeofpi

大人になった主人公のパイをイルファーン・カーンが演じています。

lifeofpi

この映画自体が好きすぎて語りすぎてしまうので、気になる方は過去ブログを参照ください。
DVDの他、U-NEXT、Amazon Prime Videoでも観ることができます。





『Qarib Qarib Singlle』(2017年公開) 

qaribqaribsinglle

カリーブカリーブシングル、ほぼほぼ独身という意味です。
オンラインデートアプリで知り合ったアラフォーの男女が二人で旅行に行くお話。

チャラそうなサムい男ヨギと、少し前に夫を亡くしたジャヤが不思議とデートを重ねて関係を深めていきます。

この映画自体が良いというより、私はこのイルファーン・カーンがとてもとても好きで、日本では公開されていないかもしれないですが紹介したいし機会があれば観てほしいです。

大人の恋愛なんです。

何にもしてないのに、ただ2人が見つめ合っているだけなのにこちらが照れてしまうくらい色気漂うシーンがありました。お気に入りです。

Netflixインド版では観ることができます。



『Blackmail』(2018年公開) 

blackmail

妻の不貞の現場に遭遇した男が、妻の不倫相手を脅迫しお金を要求するところから始まるお話。
脅迫が脅迫を生むエンドレス脅迫で、半分コメディ、半分サスペンス。登場人物全員クソ。
謎が明かされ全ての伏線が回収されるような話ではありませんが、モヤモヤして考えるのも楽しい映画。

Amazon Primeインド版で観ることができます。



日本でも観ることができるイルファーン・カーンの作品

あまりにインド寄りになってしまったので日本でも観られる作品を……。

ショートフィルム『Love Sucks』

2019年の短編なんですが、これとかどうでしょう。YouTubeで4分です。





ドラマ『TOKYO TRIAL 東京裁判』

インドのパール判事を演じています。NHKオンデマンドもしくはNetflixで観ることができます。





家族の言葉

イルファーン・カーンの死の2日後、家族が彼のTwitterにメッセージをアップしました。


芸術的表現が多く、私の知識不足ゆえ英語の意味が取れない部分が多々あったんですが、意訳したので興味のある方は読んでみてください。


世界中が、彼の死を我が事のように取り扱ってくれている時に、私はどうやって家族の言葉として文章を書けるでのしょう。
この瞬間を沢山の人々が私たちと共に深く悲しんでいる中、私はどうやって孤独を感じられるのでしょう。
私はみなさんに、これは失ったのではなく得たのだと確信をもって伝えたいです。
彼が私たちに教えてくれた物事を獲得したのです。
そして今、私たちはついにそれを実行し展開していくのです。
しかし一方で、みなさんがまだ知らない、彼が教えてくれたことを補足できればと思います。

私たちにとって信じがたいことですが、イルファーンの言葉で言うと、彼がここにいてもいなくても「それは神秘的だ」ということです。
それこそが彼の愛したものであり、彼は表面的な現実を愛することはしませんでした。

私が彼に対して恨みを抱いていたただひとつのこと、それは彼が一生私を甘やかし続けたことです。

完璧を目指す彼の努力は、何事においても私が普通でいることをよしとさせませんでした。
彼が見るものすべてにリズムがありました。それが不協和音や混沌の中にあっても、です。
だから私は、たとえ私が音痴でも不器用でもそのリズムの音楽に乗って歌い踊りました。

奇しくも、私たちの人生は演技においてマスタークラスだったので、「招かれざる客」(病気)の劇的な登場が起こった時、その時までに私は不協和音の中に調和を見出すことを学んでいました。
医師の報告は完璧に仕上げた脚本のようなものだったので、私は彼がパフォーマンス(治療?)において探し求めたどんな細かいことも見落とすことはありませんでした。

私たちはこの旅路で素晴らしい人々に出会いました。
枚挙に暇がありませんが、私が言及しなければならない人たちがいます。
最初に私たちの手を握ってくれた(治療を開始してくれた)腫瘍専門医のDr.Nitesh Rohtogi(Max hospital Saket)。
Dr. Dan Krell (UK), Dr.Shidravi (UK)、暗闇の中で私の鼓動であり灯であったDr.Sevanti Limaye(Kokilaben hospital)。

この旅路がどんなに素晴らしく、美しく、苦痛で、刺激的なものだったかは説明できません。
私はこの(闘病の)2年半が間奏曲であるのだと感じています。
それは、イルファーンがオーケストラの指揮を執る間奏曲の始まりであり、中間であり、集大成でありました。
この時間は、私たち夫婦の35年間の交わりとは別に、私たちの関係は結婚ではなく連帯となりました。
私はひとつの舟の中で小さな家族を見守っていました。
船を前に漕いでいくBabilとAyaanという二人の息子たちと共に。
「そっちじゃない、ここから曲がりなさい」と彼らを導くイルファーンと共に。
でも人生は映画ではなくリテイクもないので、子どもたちが父親の指導を心に留め、母親の子守歌(Rockabye)を聴きながら、嵐の中でも安全にこの舟を進めていくことを心から願っています。

私は子どもたちに、できれば、父親から教わったことで彼らにとって大事なことをまとめられるかお願いしました。

息子Babil:不確実性のダンスに身をゆだねることを学び、この世界における自分の信条を信じなさい。

息子Ayaan:自分の心を支配し、自分の心に支配されないようにすることを学びなさい。

勝利の旅を経た彼を休ませる場所に、彼の好きなナイトジャスミン(raat ki rani tree)を植える時、涙が流れるでしょう。
時間はかかりますが、この先ずっとその花は咲き誇り香りは溢れ広がり、それは私がもはやファンではなく家族と呼ぶ全ての人の魂に届くことでしょう。



イルファーン・カーン本人も、この闘病のことを旅(journey)と表現していました。

治療のためにムンバイからデリーの病院にも来たのかもしれないし、その後ロンドンまで行って、本当に、家族一丸となって病気と闘っていたんだと思います。




これからもっと彼の演技を見られるだろうと思っていたのに。

私は、彼は完全復帰するだろうと漠然と思っていました。

私が彼を知ったのは『インフェルノ』で、それ以降注目して観るようになったので、おすすめ映画は最近の作品が多いです。

昔よりも今のほうが渋さも出てきて、普通の人でありつつも、セクシーだったり、キモかったり、荒々しかったり、怖かったり、そういう彼の演技の深みを楽しませてもらっていました。

これからもっともっと、インド映画の、ヒンディー語映画の幅広さを伝えてくれる人でもあったのに。

早すぎる。

秀でた表現者の新しい作品を今後見られなくなるという芸術の喪失感が深く、本当に本当に残念でなりません。

が、これは喪失ではないのだと。
そこにあってもなくても変わらないものがあるとイルファーンが言うのであればそうなのでしょう。

あなたの演技から、あなたの哲学から、まだまだ学んでいきたいと思います。

irrfan3

イルファーン・カーン、安らかにお眠りください。
Rest in peace, Irrfan.

raat ki rani tree



こんにちは。

恋人がたまに「君への気持ちだよ」と音楽をシェアしてくれることがあります。

まだ観たことのないインド映画の音楽だったりするので、忘れてしまわないように残しておきたいと思いました。



Annie's Song/John Denver



これはインド映画音楽ではありません(笑)
カントリーロードで有名なJohn Denverの、当時の妻に対するラブソングです。
この曲、付き合う前に送られてきたのよね。付き合う前の日の夜かな。
重いなとも感じることもなく、純粋に嬉しかったです。
このYouTubeに書いてあるコメントとかエピソードを読んで感動して泣いちゃいました。


Tu Hi Re
(映画『Bombay』劇中歌)




1995年公開のヒンディー語映画『Bombay』の一曲です。
未見なんですが、端的に言うとヒンドゥー教徒の男性とムスリマの女性のラブストーリー兼当時の社会問題を扱ったシリアスな映画。観たい。

歌詞は、君しかいない、君なしでは生きられないという内容。


Yeh Haseen Vadiyan
(映画『Roja』劇中歌)




これは1992年公開のタミル語映画『Roja』のヒンディー語吹き替え版。
大ヒットしたらしい。カシミールが舞台?
インド軍兵士と妻の愛の物語。

歌詞は、美しい谷に来て、君という愛と幸せを見つけたよ、みたいな感じです。(意訳)


Hey Shona
(映画『Ta Ra Rum Pum』劇中歌)




2007年公開のヒンディー語映画『Ta Ra Rum Pum』の一曲です。
家族の絆の物語。Saif Ali Khan好きなんですがまだ観ていない。

歌詞は、「君のことばかり、君のことが大好きなんだ」ということをずっと言っています。

私のニックネームを彼と話してShonaに決めた後に彼が送ってきた曲なのでちょっと胸キュンでした。
ShonaはSweetheartとか、Darlingとか、Loveって意味です。


Dil Ko Tumse Pyar Hua
(映画『Rehna Hai Tere Dil Mein』劇中歌)




2001年公開のヒンディー語映画。これもSaif Ali Khanが出ています。
未見なんですが、結婚予定の相手に成りすまして好きな女性とお近づきになる話……?

歌詞は、「恋に落ちたよ、初めてなんだ、愛している、僕に何ができるか教えて」となかなか強めに愛を訴えてます。



他にも何かあった気がするな……。

随時追加します。

ラブソングを送りたい相手がいたら参考にしてみてください(笑)



PVR Cinemasにて『YOMEDDINE』を観ました。

2018年5月8日のカンヌ国際映画祭で公開され、順次各国でリリースされているアラビア語の映画です。

yomeddine

製作はエジプト、オーストリア、アメリカ。

実は今年の2月に行われたバンガロール国際映画祭にて上映されていたようですが、私の住むグルガオン、もといデリーNCR地域では8月23日からPVR Cinemasで公開されています。

珍しくハリウッド以外の外国映画が予定されており、予告編を観て興味を持ちました。

隔離されたコミュニティに住むコプト教の元ハンセン病患者Beshayと、彼を慕うムスリム孤児のObamaが、本当の「Home」を求めてエジプトを旅するロードムービーでした。



予告編

 



ストーリー

妻を亡くして一人になったBeshayは、自分を施設に置いて行った家族を探しに、ロバと少しの荷物を抱えてコミュニティから抜け出す。

Beshayを慕っていたObamaは彼の行動に気付き、道中を共にすることに。

つてもなく道もわからずお金も持たない彼らの旅路は平坦な道のりではないものの、その中で出会う人々の視線や態度に触れ、本当の家族、本当の家を少しずつ見出していく。



製作・キャスト

監督・脚本: A.B. Shawky(Abu Bakr Shawky)
Beshay役: Rady Gamal
Obama役: Ahmed Abdelhafiz

最初は親戚や友人を頼り、クラウドファンディングを始めて資金を集めたそうです。
KICKSTARTER - Yomeddin by Abu Bakr Shawky



映画の感想

想像していたよりもずっと素晴らしい映画でした。

今年観た映画の中でも一番心に響いたと言っても良いほど。

映画を観て私の琴線に触れたポイントは3つありました。

◆ハンセン病元患者の主人公

ハンセン病患者は、壁で隔たれた施設で生活することを強いられている現状があります。

主人公Beshayは、小さい頃親に連れてこられてからずっとそこで生活し、ゴミの中からお金になるものを集めて換金し生活しています。

Beshayは、ハンセン病は治っているものの、顔や手などに後遺症が残っており、その見た目がコミュニティの外に出たことで奇異の目にさらされ、本人がそれをとても気にするようになるんです。

お供をするObamaが作ってくれたネット付きの帽子で風貌を隠すようにしてBeshayは旅を続けていきます。

私はハンセン病の方に会ったことはなくそういった後遺症をまじまじと見たことがなかったので、誰かを見る私の目は、Beshayにとってのエジプトの人々の目線と同じなんだろうと思いました。

知らないから、関わりが薄いから、目の前にした時にまじまじと見てしまう。
私にとって、本人にとってそれが蔑視の気持ちを持たないとしても、その視線は気持ちの良いものではないだろうな。

◆コプト教とイスラーム

コプト教のBeshayとムスリムのObamaという組み合わせもポイントでした。
エジプトのコプト教の歴史に詳しければ見えるものも違うのかもしれません。

私はBeshayがモスクで受け入れられていることが新鮮でした。
宗教の違いからというより、何もなくとも人々を受け容れるモスクの役割を知ることになりました。

◆旅に意味のあるロードムービー

ひとつのコミュニティでずっと生活をしてきたBeshayが記憶を頼りに実家を目指し広大なエジプトを旅していく。

しばらく二人の旅路を見ていて、どうやってこの先生きていくのかと思ってしまうほど希望も未来も見えず不安になる瞬間があったんです。

それでもなんとかして生きていこうとする、生きていけるんだという力強さを感じさせられたし、あのラストで「なんて格好良いんだ」と映画を観ている人は皆心奪われたはず。

監督もこれを見せたかったんだろうと感じました。

映画の構成が良かった。あの軌跡を辿れたことが良かった。

ラストは映画館で観た8人で拍手でした。



インドでこの映画を観て感じたこと

私が、インドにいてハンセン病というワードで頭に浮かぶのはマザー・テレサでした。

マザー・テレサの活動を知っていても、インドのハンセン病患者・元患者の現状がどういったものか、というのはこの映画を観る前後に調べて初めて知ることばかりでした。

日本財団のウェブサイトなどにわかりやすくまとめられているので、興味があれば覗いてみてください。

・日本財団 ハンセン病~病気と差別をなくすために~

・ハンセン病制圧活動サイト「Leprosy.jp」


インドの都市部あるいは観光地にいると、物乞いをする人達をよく見かけます。見かけるだけではなく施しを求められます。

そういった人達の中には、病気などが理由で住居を追われコミュニティから排除され、都市に出ざるを得なかった人もいるのだと、今回知りました。

恥ずかしい話ですが、そういった人を見て「なんで都会に来たんだろう」「代々ここに住んでいるんだろうか」「田舎では稼げないから都会に出てくるんだろうか」とずっとただただ疑問に思っていました。

ちゃんと調べたことはなかったんです。そして未だに「理解している」とは言えません。

施しを求められても「裏に親玉がいるから無闇に何かを渡さないほうがいい。絶対に見られているし、せっかく渡してもお金は取られている。」という意見をインド人複数人から聞いていたので、それから私は毎回無視を貫いています。

インド人から聞いたことも事実のひとつであるだろうし、新たに知ったことがあるからと言って今後積極的にお金を渡していこうとは思っていません。

ただ、ひとつの実態を知ったので、これについて私にできることはないかと考え始めています。

最近、ボランティアやフィランソロピーを探していて、普段働いている私にも持続可能な活動があれば取り組んでいきたいと思っています。

目の前で日銭を求める人がいるのはわかっているけれど、その人ひとりをその瞬間だけ助けるのではなく、彼らのまわりに存在する仕組みを改善していく活動を何らかの形でフォローアップしていきたいというのが今の私の考えです。

* * *

インドにいるからこそ感じた思いとして他にも。

日本にいたままこの映画を観ていたとしたら、こういう世界があるのかと知ってインターネットで検索するだけで終わっていたかもしれないんですが、インドの状況に似ていたので余計に心動かされた部分がありました。

ISUZUのトラック、オートリキシャー、ゴミの山からお金になるものを拾い集め換金する人、トラックの荷台に乗って移動する人、人通りの多い場所で物乞いをする人、その縄張り争いをする人、道で寝ている人、雨風を凌げるとは言い難い場所で生活をする人。

日本にもホームレスになったり、同じ状況の人がいるのはわかっているものの、あまりの人の数の違いに、毎日のようにこの目で見ている世界が映画の中にあって、遠い国の出来事ではない、目の前で起きてることなんだと感じるほかありませんでした。

それを見るのが嫌だとか苦しいといった感情ではなく、同じことが私の住む場所でも起きているというその事実だけを感じました。

好きなジャンルの映画の傾向は変わらないし、日本で観たとしてもこの映画を好きになっていたと思うけれど、外国の映画の内容が現実として私の頭に下りてくる感覚は初めてでした。



日本でも公開してほしい

今のところ日本公開情報はありませんが、渋谷の単館系シアターが上映してくれないかな、と期待しています。

ついこの間、日本で、ハンセン病元患者家族に首相が謝罪したニュースがあったので、映画を観ながらそれを思い出していました。

ただ単純に映画として出来が良いので、楽しんでもらいたいなあという気持ちです。最後めちゃめちゃ格好良いので!



映画を観てその場で感じたことがあったとしてもいつの間にか忘れてしまうので、この映画を観たことはしっかり残しておきたかったんです。

観られるチャンスがある人には観てほしいな。



こんにちは。

昨日は朝から嬉しいニュースが入ってきました。 

なんと、現在日本で公開中の映画『天気の子』のインドでの公開が決定したというのです!


インド公開を報じるニュース

映画『天気の子』公式アカウント

新海誠監督のTweet


今年の4月に、インドのファンからの声に対応する新海誠監督のTweet

新海誠監督のTweetにあるPVR  Picturesというのは、インド全土で展開する高級シネコンPVR Cinemasを運営する会社です。

BookMyShowというのは、映画やイベントのチケットを予約できるインドのアプリです。

Vkaaoは配給会社。



記事によると、インドのファンが公開希望のインターネット署名活動を行い、5万を超える署名が集まったとか。

これかな?

change.org - Weathering With You (Tenki no Ko) screening in India
https://www.change.org/p/prasoon-joshi-weathering-with-you-tenki-no-ko-screening-in-india


5万人ってすごくないですか?

全人口であれば13億人ですが、日本のアニメ、しかもキャラクターとして定着しているドラえもんなどではなく、わりと最近人気のアニメにアクセスできる層というと中間層以上の限られた人達になるだろうと思います。
それに高級シネコンの枠であるPVR Cinemasの顧客層でもあるわけだから、インド配給側でもそれなりのニーズがあるとの判断だったのではないでしょうか。

9月末からインド日本映画祭が始まるので、「そこで『天気の子』もやってくれたら良いですね~」なんて映画好きの同僚と話していたんですが、正式にリリースされるなんて思ってなかったので嬉しいです。

ただ、ひとつドキドキしていることがありまして……。

つい先日、PVR Cinemasの一部のスクリーンで『万引き家族』が上映されていたんですが、上映が予定されていたはずなのに、当日上映リストから消えるということがありました。

だから早めに観に行かないといけませんね。

日本のアニメ好きの友人も喜んでいたので、一緒に楽しみたいと思います。



↑このページのトップヘ