日曜日の朝、起き抜けにTwitterを開いた私は目を疑いました。
タイムラインが、シュリデヴィが亡くなったというニュースと俳優達のお悔やみの言葉に溢れていたからです。


現地時間の2月24日、この日、インドの伝説的女優、シュリデヴィ(Sridevi)が急性心不全により他界しました。
甥の結婚式のために滞在していたドバイのホテルにて倒れたというニュースでした。
(現在は死因は溺死と特定されおり、ホテルの浴槽にて意識を失い、結果としての溺死とのことです。)


嘘でしょ?
人違いでしょ?
としか思えませんでした。

だって、つい数日前までInstagramを更新して美しい写真を載せていたし、病気の報道もなかったはずだし元気な様子を見せていたのです。

それでも、続々とTwitterに投稿される世界中からのお悔やみの言葉を見て、現実を受け入れるしかありませんでした。


女優 Madhuri Dixit Nene様

スーパースター ラジニカーント

インドの首相 Narendra Modi

パキスタンの歌手・俳優 Ali Zafar

イギリス・ロンドン市長 Sadiq Khan


シュリデヴィは、日本で比較的簡単に見られるインド映画では『マダム・イン・ニューヨーク(原題:English Vinglish)』の主演として顔が知られていると思います。

みなさんもこのパッケージをちらっと見たことはあるのではないでしょうか。

englishvinglish

英語がわからない母親が、家族に馬鹿にされ悔しい思いを抱え、姪の結婚式のお手伝いのために旅立ったアメリカで英語を学習し自信をつけて意気揚々と生きていくストーリーです。
最後の英語のスピーチは感泣でした。


シュリデヴィを見たのはこの映画が初めてで、インド映画デビューしたての私には綺麗な40歳の人だなあくらいの印象でした。(実際は当時49歳だったかと。)

日々変わるサリーがとても綺麗で、目にも楽しかったのを覚えています。
この映画の影響でサリーに憧れ、この年のハロウィーンでサリーを買って自分で着たほどです。
(インド人には「サリーがコスプレ?インド人に怒られるよ(笑)」と言われましたが。)



シュリデヴィの背景としては、この映画は復帰後初めての作品でした。

と言うのも、4歳で子役としてタミル語映画でデビュー、それから数多くのタミル語とテルグ語の映画へ出演してきました。
また、カンナダ語やマラヤーラム語の映画へも度々出演し、各映画でヒロインを演じました。
1979年からは、ヒンディー語映画界、いわゆる、ボリウッドへも進出します。1984年には、ボリウッドの主役女優として名を馳せ、80年代・90年代を代表する女優となります。

tohfa


インドは、言語で映画界が分かれているのですが、シュリデヴィは南インドのタミル語、テルグ語、マラヤーラム語、カンナダ語、それからヒンディー語の映画に出演しており、本当にインド全土、いや世界中から愛されている女優なのです。

今でこそ女優もいろいろな方が有名になっていますが、シュリデヴィこそ、男性優位のインド映画産業の中で、最初に名前が売れた「女優」だったんです。

chandni


1998年以降、結婚や育児のため、映画の舞台からは引退同然の状態となっていました。
そこからの主演復帰作がこの『マダム・イン・ニューヨーク』でした。

今思えば、この映画は、シュリデヴィの華やかなダンスを知る方々からすれば、物足りないものだったのかもしれません。
実際はいくつもの言語を操るマルチリンガルであるわけですし。


でも当時の私には、歌とダンスでだけではないインド映画の幅広さを教えてくれて、私も英語の勉強を頑張ろうと思わせてくれたし、いくつになっても勉強はできるとも思わせてくれた、とても前向きになれて勇気をくれる良い映画でした。

『マダム・イン・ニューヨーク』はTSUTAYAにもU-NEXTにもNetflixにもあって手に取りやすいインド映画だと思うのでこれを機会に見てほしいなと思っています。
(他にもあるけども!)



とは言え、やはりシュリデヴィのダンス面にも触れておかなければなりません。

今ではいわゆる「ボリウッドダンス」と言われるような、インドの舞踊の型を元にしたダイナミックなダンスもあり、ダンスが踊れることは役者においては基本中の基本となっております。

その中でも、シュリデヴィのダンスは際立っていました。
私の大好きなマードゥリー・ディクシート(Madhuri Dixit)様との競演もあったり。

そんなシュリデヴィの代表ソングがこちら。

映画『Mr. India』から「Hawa Hawai」
ハヴァハヴァイ!アビビビビビビビ


映画『Chandni』から「Chandni O Meri Chandni」
とにかく可愛い。


映画『Nagina』から「Main Teri Dushman, Dushman Tu Mera」
スネークダンスです。目と手が印象的。




日曜日から、何をしてもやる気がなくなってしまっていたので、ブログを書きながら自分の気持ちを整理しています。

シュリデヴィが全力で生きた54年間。
その時間はあまりに短いように思えても、彼女が演技やダンス、それらに関わる美に注いだエネルギーたるや、その年月や数字だけでは到底計れないものです。
そして私たちに与えた喜びや勇気も、語り尽くせないものです。
表舞台から離れ、妻として母として人生を歩んでいた時間も、彼女が選択した人生であり、充実していただろうと思います。
彼女の人生が、彼女にとって、喜びに溢れ幸せだったことを、私は願うばかりです。



sridevi1

シュリデヴィジー、安らかにお眠りください。
Rest in peace Sridevi ji