2022年2冊目、中島敬二著『インドビジネス40年戦記 13億人市場との付き合い方』を読みました。

20220107

著者の方、グルガオンでは知る人ぞ知るお方で、私も好きな日本食レストラン「愛味」の会社を設立した方。
かねてからお名前と著書については知っていて、読んでみたいと思っていました。

インドに仕事をしに来る人は読んで損はないでしょう。
力強くインドと向き合った経験が書かれていました。 
凄くエネルギーを感じて、営業マンとしては、交渉とは何たるかを垣間見せてもらったように思います。
バリバリ働いてきた商社マンというイメージだけでなく、謙虚な方なんだろうとお人柄も感じられました。

グルガオンのこの10年だけでも大きな変化だと聞くのに、トータル40年を超えるインド経験というのは想像を絶する覚悟と苦労がおありだろうと読んでいて気が遠くなりそうでした。
インターネットもスマホもまだない時代……。昔の映画で見たテレックスの話が出てきました。


私が首を縦に振りまくったポイントはここ。
嫌な思いをしたときは、腹を立てる前にインドの慣習かどうかチェックすることにした。結果はほとんどが一般的インド流であることがわかり、これらに対しては腹を立てないようにした。
圧倒的に正しい。
自分が嫌だな、不快だなと感じることについて、その感じた気持ち自体は否定しないけれども、自分が外部の環境からやってきた人間であることは認識すべき。
「インドだから」という諦めで対応するのではなく、自分が異質な存在であることを認めるほうが先。
その上で、この状況にどう向き合うかを検討せねばならない。
インドが他人だった時はスルーできたことも、結婚した今はその気持ちと同居しないといけないこともあるのです。

108ページから始まる「処世術 インドを嫌いにならない方法」もインド初心者には大変参考になるご経験だと思う。
詳細は読んでいただければと思う一方、一点だけ修正。

ジュガードというインドの臨機応変な応急措置の考え方・方法について述べられていたんですが、英語表記ではjugaadではあるものの、本来のヒンディー語の記載・発音ではジュガールなのです。
現在もジュガードと表現する人が絶えないのは、多くの方がこの本(もちろん他の本もあるけれど)を読んでいらっしゃるゆえに、その影響力が大きいのかなと想像したりしました。

最後に、本の中で複数回引用されていた言葉も心に響きました。

A friend in need is a friend indeed.
困った時の友こそ真の友。
私もそんなふうに言えるようなお付き合いを重ねていきたいなと思います。


インドビジネス40年戦記
中島 敬二
日経BP
2016-04-07